美容師実技試験課題見直しのための美容師実技試験部会中間報告書
1 はじめに
美容師国家試験は、美容師として業務を行うのに必要な知識と基礎的な技能が備わっているかの2つの観点からそれらを筆記試験及び実技試験により検証することとなっている。
この実技試験の検証について、公益財団法人理容師美容師試験研修センター(以下「センター」という。)理事長は、令和5年8月31日付生食発0831第27号(参考参照)により厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官から美容師国家試験(実技試験)の見直しに向けた検討が要請されたことを受け、センターに設置する美容師実技試験部会(以下「部会」という。)を開催し、部会において現行のオールウェーブセッティング課題を見直すこととした。
なお、部会において、課題の見直しについては専門的かつ機動的に検討するとともに、新たな視点からの意見を取り入れるため、美容師実技試験部会以外にも人材を求め、委員を1名加えて美容師実技試験課題見直しのための検討小委員会(以下「検討小委員会」という。)を設置することとした。
これまでの検討状況について、中間的に取りまとめたので、ここに報告する。
2 課題見直しのための諸条件の整理
検討小委員会では、以下の要件を満たす課題とすることを前提に検討を行った。
(1)美容師としての基礎的技術を検証するのに必要な技法が含まれていること
(2)養成課程で教育を受ける基礎的技術を基本とすること
(3)美容業界の動向、社会的ニーズにも応えられる技術であること
(4)受験者の負担が過度にならないこと
(5)審査の基準が明確であり、試験委員が一律(一定)の基準で審査でき、恣意的(主観的)な評価が入りにくいこと
3 課題にすべき技術の検討
見直しに当たり、実技試験課題に導入すべき技術を整理することとした。上記2(2)に基づき養成施設で教授されるセッティング技術を整理し、以下の技術について、導入の可否を検討した。
(1)ローラーカールによるセッティング技術
(2)ヘアアイロンによるセッティング技術
(3)ヘアドライヤーによるセッティング技術
(4)ピンカールによるセッティング技術
(5)フィンガーウェーブによるセッティング技術
このうち、平成23年の課題見直しの際にローラーカール技術は同じく毛髪を巻く技術であるワインディング技術との重複を避けるために除外された経緯がある。
加えて、ヘアアイロンやヘアドライヤーによるセッティング技術については、受験者にさらなる経済的負担を強いることや試験会場の電源設備の問題も解決しなければならないことなどから、いずれも課題に決定したとしても解決すべき問題が多いため、導入は困難とされた。
また、令和5年7月4日に厚生労働省において行われた「美容師養成施設の在り方に関する検討会」においても、フィンガーウェーブによるセッティング技術とピンカールによるセッティング技術は美容師に必要な基礎的な技術であると結論していることや、見直しの前提となっている社会的ニーズに沿う新たな仕上がりスタイルを構成するために必要な技術としてのフィンガーウェーブとピンカールによるセッティング技術を試験課題に導入することは差し支えないものとされた。
これらの要件を考慮し検討が重ねられた結果、次のフィンガーウェーブ技術とピンカール技術を用いた3種類のスタイルによるセッティング課題がまとめられ、美容師実技試験部会に選定を諮ることとした。
(ア)ノーパート構成によるセッティング課題
分け目を作らず、頭部に沿って後方に流れる流れと襟足に華やかさをもたせたスタイル
(イ)センターパート構成によるセッティング課題
センターに分け目を設け、フロントにボリュームを持たせ、両サイドは後方に流れるスタイル
(ウ)サイドパート構成によるセッティング課題
左側に分け目を設け、両サイドは後方に流れるスタイル
4 部会におけるスタイルの選定
検討小委員会での検討結果の報告を受け、仕上がりスタイルを前提に技術の構成及び課題としての難易度等を検討した結果、上記3(ア)のノーパート構成によるセッティング課題が選定された。その選定理由は次のとおり。
・従来の頭部に沿って流すスタイルに加え、後頭部にボリュームをもたせた巻き髪で構成するスタイルであること
・成人式や卒業式等の和装等に合わせたスタイルとして多く見られる社会的ニーズに沿って、従来の平面的に流すピンカール技術から立体的に立ち上げるピンカール技術に重点を移し、なおかつ仕上がりを重視したスタイルであること
5 課題作成に必要な諸条件の検討
部会においてノーパート構成によるスタイルが決定されたことを受け、検討小委員会では実技試験課題とする技術の条件、評価基準、持参用具類、審査マニュアルを検討した。
なお、技術の条件等や具体的なスタイルは別添のとおり。
6 今後の検討スケジュール
美容師実技試験課題見直しに係る検討スケジュールは次のとおり。
・令和8年度中に中間報告書に対する意見聴取等を踏まえてさらに検討を加え、最終的に美容師実技試験課題見直し結果(以下「新課題」という。)を報告する。
・令和8年度中に美容師養成施設に対し、新課題周知のための説明会を開催する。
・令和8年度中に美容師実技試験「技術の解説」等、新課題の教材作成に着手し、令和9年度中の完成を目指す。
・令和9年度中に審査に必要な採点用マークシートや審査マニュアルを含む委員必携の作成に着手する。
・令和10年度中に美容師実技試験委員に対し、審査方法及び審査基準の周知のための研修会を開催し、美容師実技試験委員の養成を図る。
・令和11年2月に実施予定の美容師国家試験から第2課題として新課題を導入する。
なお、令和11年2月及び8月の美容師実技試験では、新課題以前のセッティング課題を修学した者への対応として新課題以前のセッティング課題も同時に実施する。
ただし、第2課題はワインディングとセッティング課題のいずれかを抽選することとなっているので、いずれの課題となるかは事前の官報公告により発表する。


